レジのジャーナルから売上集計表をエクセルで作成したい!集計の考え方や注意点Vol.1

レジのジャーナルから売上集計表をエクセルで作成したい!集計の考え方や注意点Vol.1
この記事はだいたい 14 分前後で読めます。

売上集計表作成サポート

レジのジャーナルとして出てくる日々の売り上げ情報をエクセルで集計したいと、雑貨小物の販売を行われている方からサポートのご依頼です。

最近ではタブレットとクラウドを活用したPOSレジや、レジ本体に集計機能が搭載されているものが多く日々の売り上げをエクセルで集計する必要ないものがありますが、今回のサポート先ではレジ自体に月間集計などの機能はなく、日々のレジ締め時にジャーナル日計売上一覧を出力しています。

状況を確認すると、レジから出力されるジャーナルには販売物を部門1から部門12に分類され、その分類ごとに売り上げ情報が出力されています。

スマートフォンによる電子決済があるため、集計表では電子決済分をマイナス入力しレジ締め時の現金の残高を求めています。

集計表でやりたい事
  • 部門ごとの月間売上
  • 1か月分の総売り上げ
  • 電子決済金額
  • 部門ごとの1日平均売上
  • 1人当たりの売り上げ金額
  • 売上金額の前年比等(以前のデータはこれから準備予定)

上記のやりたい事・求めたい金額がわかるようにエクセルで集計していくのが目的となります

サポートを依頼された方は、エクセルで集計をする方はエクセルを使って文書とか表を作成した経験はお持ちですが、複雑な関数等は使ったことはほとんどないそうです。

エクセルブックの確認

本記事でエクセル集計表サポート内容の記載にあたってWebDreamで一部金額の加工等を行っていますが、基本的に担当されている方が作成された月別売り上げ一覧表がベースとなっています。

シートタブを見ると2025年1月から3月までの3か月分の売り上げの情報が入力されているようです。最初に1月分のシートの入力内容や計算について確認していきたいと思います。

エクセル集計イメージ1月分

確認用データとしてダウンロードできるようにしております。実際に確認されたい場合はダウンロードしてご確認ください。

1日から31日までの日々の部門ごとの売り上げ金額が入力され、売上時の割引や電子決済の金額、そしてレジ締め時の現金売り上げ金額、累計と部門ごとと売り上げの1か月分金額、平均などがわかるようになっています。

今回のサポートでは数値・文字入力や罫線処理といった基本部分についての説明はなくても問題なさそうでしたので、本説明でも特に触れずに進めていきます。

エクセルで集計する場合の基本的な考え方として、文字や数値を入力する部分と計算で求める値・結果の切り分けが重要なポイントです。1月のシートで計算で求める部分を確認してみます。

計算で求める部分

1日毎の部門売上から、O列の合計Q列の現金S列の累計の金額を計算し求める部分に薄い青で色付けしてみました。一方各部門や合計・割引金額・電子決済・・・人数の1か月分を総合計を計算する34行目・平均を計算する35行目について薄い橙で色付けしています。

前年比を求める部分が37行目にありますが、前年同月の売り上げが入力していないため空欄となっています。こちらは薄い緑で色付けしてみました。

色付けした部分はエクセルで計算式を入力し計算する部分で、色付けしていない部分(セル)には金額、人数を入力する部分ということになります。

1月の1日と2日はお正月休みだったようですが、部門1から部門12の部分や割引・電子決済、人数と0が入力されていました。また1月6日・14日・20日・27日は店休日にあたり、こちらもすべて0が入力されているといった状況です。

エクセルでの日付や曜日については気になるところで、日付は1月の場合は1~31の数値が入力されており、曜日については、7曜(月・火・水・木・金・土・日)が直接入力されていました。

2月と3月のシートについて日付の部分を確認したところ、2月の場合は28日まで、3月は31日の日付と曜日が入力されている状態です。

計算を確認する

日々の部門1から部門12の売り上げ金額、割引金額、電子決済金額、来客人数は入力済みで計算している部分を確認していきます。

1日毎の合計

部門1から部門12までの12か所のセルの合計を求めます。3日が初商で売り上を求めており計算式を確認すると

=SUM(C5:N5)

となっており、合計するセルの範囲が部門1から部門12と問題なく指定されていて、計算も正しく行われています。

日々の現金

レジ締め時の現金残高である現金は、1日毎の合計から割引金額と電子決済分を引いた金額となります。ただ、このシートを見ると割引金額と電子決済金額はマイナス値で入力されているので、合計から電子決済のセル範囲を合計すると求められます。

=SUM(O5:Q5)

日々の累計

日ごとの現金売り上げの累計を求めているようで、3日の累計は3日の売り上げである43,690で、4日の累計は3日の現金と4日の現金金額を合計 =SUM(R5:R6)。5日の累計は3日と4日と5日の現金の合計 =SUM(R5:R7)計算していました。

日々の累計計算

日々の累計を求めるときにSUM関数を使って、累計するセルの範囲を指定して1日毎に計算していたようです。手間がかかったと思いますが、計算としては間違っていないようです。

1か月分の合計

1か月分の金額・人数を合計する34行目のセルを見てみると、セル内の左上に緑の三角マークが表示されています。これはエクセルが何かしらのエラーが発生していると教えてくれているもので「エラーインジケータ」と呼ばれるものです。

計算で求められているであろう合計金額には間違いなさそうですが、式を確認してみます。

部門毎の1か月合計

合計するセル範囲のズレ

部門1・2・9・12の4か所の計算式を見てみると、部門1では1月1日と2日の売り上げがなく、合計しているのは3日から31日分まで=SUM(C5:C33)となっています。

部門2では1日の売り上げはありませんが、合計しているのは1日から31日分まで=SUM(D3:D33)と、部門1の計算範囲と異なります。

部門9はなぜか2日の売り上げのセルからの合計=SUM(K4:K44)と微妙に異なっています。

そして、部門12は1日から31日分までの合計=SUM(N3:N33)となっており、合計するセルの選択範囲に「ズレ」があります。

この計算対象となるセルの選択の「ズレ」が原因で、エクセルとしては合計するセルの範囲が計算する場所によって異なるためエラーインジケーターが表示されています。

この「統一されていないセルの選択範囲・計算・算出計算式」がエクセルにとって「もしかすると計算が間違っているかもしれません?確認してみてください」といったニュアンスでエラーインジケーターが表示されているというわけです。

なぜこのような計算式の不一致が発生しているのでしょうか

このシートを作成している場面を直接見ているわけではなく、出来上がった結果から推察するしかありませんが、合計を求めるセルでの計算式をを一つずつ入力したのではないでしょうか。

SUM( )関数を用いて合計するときに合計したいセルの選択範囲を間違えてしまい、合計するセルの範囲にズレが生じています。

お正月休みだった1日・2日が含まれているか含まれていないかの違いで、1か月の売り上げ合計には影響を及ぼさないため、合計金額としては合致しているため式の相違には気づかなかったということでしょう。

同様の計算を行う部分は数式のコピーを利用

合計したいセルに毎回数式を入力するのではなく、統一された数式を入力するために数式を1か所入力したらその数式をコピーする方法で説明しました。

部門毎や合計金額等1か月分の合計を求める34行目の計算で、部門1の合計を求める際に、1日から31日までのセルを合計する式 =SUM(C3:C33)と入力し計算結果を求めます。

34行目の計算の統一化

結果が求まったら再度C34のセルを選択し、右下のフィルハンドルを右方向へドラッグすることで式のコピーができます。数式のコピーでT列の人数合計まで計算します。累計の総合計を求めるというのはないので、累計の総合計部分は削除しています。

合計計算式統一後

WebDreamはエクセルでの式の入力は手入力をお勧めしているため数式を直接入力としていますが、数式リボンからオートSUMを用いてセルを選択する入力の仕方でも同様の結果は得られます。

数式の統一化を行ったことで、セル内の緑の三角マーク(エラーインジケーター)が表示されなくなりました。

1日当たりの平均を求める

平均は特に問題なく計算されているように見えますが、数式を確認すると

部門1では=276390/25 部門2では=206720/25部門3・・・と続き人数の平均は=558/25と、平均を求める数式として、合計金額や来客合計人数を25で除算する計算式がそれぞれのセルに入力してありました。

まず25という数値は何か?実営業日です。月平均といっても1月の31日のうち店休日と考えられる日が6日あり、実営業日数は25日となります。

この実営業日の25日という値がこのシート状にないため、平均を求めるために合計の金額や来客数を25で除算するという計算をされたようです。

セルひとつづつに計算式を入力されて大変だったと思います。しかもセルの番地を使わず、合計の金額を入力したうえでの計算ですからつづつに計算式を入力されて大変だったと思います。

実営業日数を求める方法は別途考えることとして、実営業日である25日分の平均を求める式はどのようにするか考えてみます。

25という値で除算することは部門毎・合計・・・現金・人数等で共通なので、部門1の平均を求めるセルで276,390という金額を使うのではなく、入力されているセルの番地 C34 を使って計算を行います

= C34 / 25と計算を行い、合計の時と同様フィルハンドルをドラッグして人数まで数式をコピーします。ここでも累計の平均を求めることはないので、累計の部分だけ式を削除しています。

部門毎、合計・割引・電子決済・・・人数毎に合計の値を入力するのではなく合計値が入っているセルの番地を25で除算する数式で平均を求めることができました。

まとめ

今回のサポートで集計表の完成には至らず、入力されている数式・計算方法をもとにシートの確認を行い、計算するセルの選択範囲の不一致や、平均を求める際の金額を直接入力している部分についてお話しをしたところです。

34行目・35行目の合計、平均を求める計算では、数式を1つずつ入力するのではなく、1か所数式を入力してフィルハンドルでドラッグするという数式のコピーをお伝えしました。

1日毎の合計・現金、累計を計算するところでも同様に1か所数式を入力し、その数式をコピーする方法で処理を行うことが望まれます。

今回1月の営業日数は25日間ということで、平均を求める計算で25で除算するという数式を入力しましたが、実営業日をどのように求めるかを考える必要があります。

数式の組み立て方や、数式コピーについては様々な方法があり、今回のサポートではエクセルの使い方の一例としてお伝えしている点はご了承ください。

今回3か月分の売り上げの情報ですが、上記の計算を行う方法と1年を通してシートを作成する際の考え方もサポート予定です。

今回1年分の集計までお話しできるかと思いましたが、結構なボリュームとなったためVol.1としてまとめました。継続して集計表のサポートしていきます。

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